
(1)リーダーに向いている人
「俺はリーダー向きじゃないから・・・」
そういう人を何人も見てきましたが、ではリーダーが向いている人って言うのはどういう人なのでしょうか?
おそらく、リーダーというタイプの印象は、的確に人に対して指示を出すイメージがあるため、リーダー向きな人というのは、支配欲と定義されるような人の上に立ちたい、自分の言うことを聞かせて人をコントロールしたいと思う人が向いているのでしょう。
けれども、そういった意味では、私は全く性格的に向いているとは言えないと思います。どちらかと言えば、みんなと仲良くしたいけど1人で何かを追求することも好きな変人一人っ子。人をコントロールしたくもないし、コントロールされたくもない。人の上に立ちたいなんて、子供のころから学生時代を通して思ったこともありませんでした。それよりも学生時代の部活では、役職なくてもリーダーを支えるような役割を担っていたように思い、名サポーターのような立ち位置が居心地よかったように思います。
ただ、社長になって10年以上が経ち、ベテラン社長とまではいかないまでも中堅くらいの経験を持った社長になった自分。自分の性格が社長に向いている、向いていないは別として、「いい社長、いいリーダー」になるべく、社長としての考え方や立ち振る舞い、行動というものを必死に考えて演じてきた部分もありました。

(2)演じれば近づいていく
すると、演じていると下手くそでもそれなりに様になっていくものです。正直、私は自分のことばかり考えるマイペースな楽天家ですが、人の気持ちをたくさん考えるようになりました。「自分だったらこう思う、こうやる」の前に「この人だったら、こういう考えや性格でこう思う、こうやる」と。それを行うために考えるだけでなく見る、聞くようになりました。
何かを自然に決めることは得意でも、決めなくちゃいけないことを決めるのは苦手です。特に苦手なこと、嫌なことはなるべく避けて通りたいものです。けれども、今、決めないと後々、困ることはさっさと決めてたとえ嫌なことでも避けないで行動するようにしています。
誰もが思いつかないアイデアを出すのは大好きです。けれども、失敗をたくさんしてアイデアを出すこと、発言することも怖くなることもありました。けれども、たとえ「思いつきだよね」と思われても、アイデアを出し続けないと改善や改革、イノベーションは起きないと学んでおり、アイデアを出す苦労やそれを出すことの恥を恐れないようにしています。
そして、最後の最後、自分の信念というものを固めて、発言し、行動し、実現させることに妥協がないようにしています。本当はそんなこと言いたくないし、言ったら後ろに引けないし、失敗したりできなかったら恥ずかしいし、とにかくそんなことを自分の心の中に秘めておきたいです。けれども、伝えないとみんなには伝わりません。
結局、リーダーっていうのは、相手に何かを伝えて導いていく仕事。仕事だったら、それを学んで演じていけばいい、そしていつかホンモノになればいいだけなのです。

(3)成功で自信を、失敗で学び伸びる
会社というのは、人の集合体であり、人なくしては存続できないため、私は教育という者に力を入れて参りました。それはリーダーの大事な仕事の1つと言えるでしょう。とは言え、コロナ禍が始まりなかなか集合研修などが難しくなり、新たな形で研修などは行わなくてはいかず、計画していかねばならないのですが、それは着手できていないのですが。けれども、教育というのは座学だけでなく、日常の現場で行うことができ、リーダーはただ仕事をメンバーに教えるだけでなく、仕事における使命感、自身の存在意義を持たせることが大事だと思います。
どうでしょうか、もし、自分がいてもいなくてもいい存在だとチームに思われていると思ったら、悲しくありませんか?どちらかと言えば、自分の存在が、仕事がチームに価値を与えている、必要とされていると思って仕事をしていた方が良くありませんか?
人それぞれ、どんなことに使命感、存在意義を持つかは別ですが、どんなに高度な仕事であろうと、初歩的な単純な仕事であろうと、使命感、存在意義を感じないで仕事をしていたら、いい仕事はできません。
ですから、リーダーはメンバーにそれを感じさせるべく、期待をし、きちんと仕事を任せ、自信をつけさせることが必要だと思います。
しかし、それだけでは、自信にあぐらをかき、「自分はこれでもういいんだ」といういわゆる天狗の状態になってしまったり、失敗を極度に恐れてより難しい、高い仕事へと挑戦しなくなってしまったりしてしまいます。
ですから、リーダーは、仕事を任せながら自信をつけさせるだけでなく、あえて修羅場や難しい仕事を経験させ、失敗することを計算に入れながらであったり、あえて失敗させたりすることも必要となります。

(4)緩いチームに未来はない
おそらく、そうすると、チームは暗くなり、後ろ向きになることもあるかもしれません。負けを経験したり、失敗したりした時、雰囲気が悪くならないなんてことは本来、ありえないからです。もしあるとしたら、本気じゃなかった時であり、本気だったら失敗に対して怒りや悲しみ、悔しさがこみ上げ、涙が出てくるものです。ミスや足らないことがあって失敗したなら、怒られたり叱られたりすることもあり、更にチームの雰囲気は悪くなるかもしれません。
しかし、そういったことを理由に厳しさがなかったら、ただの緩いチームになり、チームも個人も成長しません。結果として、それは全員の不幸となります。
今はできないかもしれないけれど、あえてやらせて失敗をさせ、そこから這い上がらせる。そういったことも人を育てる上で必要な通過儀礼なのだと思います。
それには、育てるリーダー側の忍耐力も相当に必要となり、相手に期待をし続ける一方、厳しくも接しなくてはならず、本当に我慢が要求されます。
それでも、冒頭の通り、緩いチームに未来はなく、結果的にそれが全員を不幸にするため、取り組んでいかなくてはなりません。
(5)志と姿勢が大事
最後にリーダーとして成功するには、戦略や作戦などがとても大事、などと言われますが、私はそう思いません。大事ではあるけれど、最重要事項ではないということです。それよりも大事なことは、(2)の「演じれば近づいていく」に書いていたような姿勢を徹底的に妥協なく続け、それを続ける動機、志を高く持ち続けることが大事だと思います。戦略や作戦なんて、みんなで考えればいいし、それぞれの分野で得意なことを持ち寄ればいいだけです。リーダーが全ての業務に明るくある必要はなく、専門性が高い必要もありません。
だいぶ前にW社の社長がご来社され、「いいね大賞」の掲示板をご覧になられた際に、こうおっしゃられたことをよく覚えています。
「真木社長は、さくらGSをいい会社にしたいのですね」
と。
言われた時には、それがなんだか恥ずかしくて、「いやいや・・・」なんて態度を取ったし、「若いなあ、こいつ」みたいに思われたのかな、なんて後ろ向きに思ったこともありましたが、今では、「あれは最大限の賛辞だったのだなあ」、と自負しております。
そう、いい会社にしたいんです、僕。
