
近年、技術を持っていながら黒字倒産してしまう中小企業が増えている。
その理由の一つとして技術の後継者がいないことがあげられる。2017年の休廃業企業は約2万8,000社、約半分が黒字なのに後継者がいないため廃業に追い込まれている。中小企業の多くは後継者を見つけたり、育てたりしないうちに70歳前後になってしまうので、結局廃業せざるを得なくなる。廃業者の多くは少人数で乗り切ることに精一杯で、後継のことを考える余裕もなかったと言う。
どうすれば、上手く技術を継承し、会社が永続的に成長出来るのか。
こういった問題に対し、自分の立場から何が出来るか考える必要があると思い始めた時に、全く分野は異なるが気になる出来事があった。
サッカーの『ロシア ワールドカップ』である。
ご存じの通り日本は一次予選を突破し目標(最低限)を達成した。最初ほとんどの人が予選敗退を予想したのではないだろうか。
日本の何が良かったのか?
賛否両論あるが、それを象徴する場面と感じたのが一次予選 第3戦のポーランド戦。前半0-0で終了し、後半にリードを許した絶望的な状態の中で、一報が入り込む。他会場の結果によって日本は予選突破出来る状態になった。日本はリードを許しながら、これ以上点を許さない為の守りに入った。単なる守りではなくボールを回して時間を消費する作戦に出た。もちろん監督からの指示である。
全世界で中継されるワールドカップ。明らかに消極的なプレーは監督だけでなく、選手たちも非難の的になる。
監督は目標『予選突破』を達成させるために、著しく戦況の変化する中、リスク(消極的な対応に対する非難)はあるが目標を達成させる可能性の高い策を選んだのである。
日本の監督による目標を達成させるための強い意思、執念ともあろう作戦は功を奏し、日本は予選を突破した。
また交代で入ったキャプテンが、監督の作戦をボディランゲージで選手に分かりやすく伝え、安心させるかのように振る舞い、リードを許してチーム状況が不安定だった日本は再び地に足がつき、一丸となって戦うことが出来た。
3つのキーポイント
組織として、各階層が各立場における責任を負いながら、目標達成のために執念で勝ち取った勝利であると感じた。

技術の継承、担い手の強化といった中小企業における問題点に立ち戻った時に、何をすべきか。
まずは会社の目的目標を全員が理解し、階層別に応じた各立場の行動をする。それが段階的な個々の成長に繋がると感じる。
また、上位者は必ずしも思い通りにいかない目標の計画に対して、振り返り分析し、目標を達成する為に何をすべきかを分かりやすく伝えなくてはならない。そして達成することに強くこだわらなくてはならない。そういった繰り返しが組織を強化させるのではないだろうか。
自分の立場として、計画通りにいかない状況になったとしても、分析し何が問題かを分かりやすく伝える・促す(問題に気付かせる)・達成することにこだわることが重要と感じる。
組織を強化するための答えは、一つでは無い。今後も自問自答しながら、考えを広く、深くし、会社の永続的成長に携わっていきたい。
川崎工場 品質管理課 樫本 大統