コラム サクラみらいポケット

少しの興味と誇りを持って

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私達が自分の身の回りや、家の中、あるいは町を歩いていると、その周辺に非常に多くの物に「めっき」が使われている事にお気付きでしょうか?

アクセサリーや生活用品、自動車、電子機器に至るまで、めっき技術はあらゆるところで使用されており、今や、私達の生活はめっき無しでは成り立たないと言っても過言ではありません。

 

「めっき」ってどんなイメージ?

めっきと聞くと、解らない方は「めっきがはげる」(上辺だけのごまかしが効かなくなり、本性が現れる)と言う慣用句を連想したり、アクセサリーなどでは安物と、あまり良いイメージを持っていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

めっきに携わっている方でも、めっきが水溶液中での化学反応を利用する技術であり、更に目で見えない事も相まって、メカニズムまで理解している方は少ないのではないでしょうか?

様々な色をもっためっき液から上がってきた製品は、色が変化していたり、あるいは鏡の様にピカピカの光沢をしていたり・・・実に不思議です。人によっては魔法の様な技術に見えるかもしれません。

しかし、一見、魔法の様に見える反応も、実はそんなに難しくはないのです。中学校の理科の授業で学んだ内容の延長なのです。「酸化と還元」「電気分解」や「電池」などの内容は、まさにめっきの反応の一部です。

中学生の頃なんて、はるか昔の事なので覚えていない人の方が多いと思いますが、当時は授業で学んで、実際に理科室で実験を通して体験していたはずです。(世代や地域で学習範囲や、実験内容に差があります)

ハイテック、めっきが無ければローテック

そんなめっき技術は、金属の薄膜という形で物の表面を覆うことで、材料や製品の外観向上、高機能化、長寿命化などの特性改善を低コストで実現出来る非常に興味深く、魅力的な技術です。

私の恩師である教授からは川柳風に「ハイテック、めっきが無ければローテック」と耳にたこができるくらい聞かされました。

まさにその通りかもしれません。

めっき技術が無ければ、また、発展が無ければ、ハイテク技術の発展は無く、私達の身の回りは今ほど、便利になっていたかは解りません。

例えば、今や一人一台が当たり前になっている携帯電話も「OK、バブリー!」で有名な芸人の平野ノラさんが肩に掛けているショルダーホンの様に大きく、重く、他の機能もないままだったかもしれません。

せっかく、便利な世の中へと導いた「めっき」と言う技術に携わっているのですから、日々の作業だけに囚われず、起きている現象に興味を持って仕組みや働きを考えて、理解度を深めてはいかがでしょうか?きっとそこには、新たな気づきや発見が起こり、問題解決の糸口につながる事でしょう。

不思議がり興味を持ってみませんか?

国土も小さく、資源の無い日本ですが、技術力においては他の国に負けておりません。

激変する世の中でその日本が、そしてさくらGSが存続し続けるためには、イノベーション(革新)し続けなくてはなりません。そして成し遂げるには相当のモチベーション(意欲、やる気)が必要です。人は興味や関心の無いことには、モチベーションを維持、向上することは出来ません。

昨今、理科に対する子供の興味・関心・学力の低下と言った理科離れが進んでいると言われておりますが、モノづくりの初歩は「不思議がり、好奇心を持って、真似ること」と言われておりますので、まずは不思議がり、興味を持つところからでも始めてみませんか?

なにせ私も大学でめっき技術に出会い、その魔法の様な不思議な現象とハイテク技術を支えるマイクロスケール領域に魅せられた一人です。初めて実験で体験した無電解ニッケルめっきは、ただただ感動し、その不思議な現象に興奮したのを今でも覚えています。

 

最後に

そして最後に、このめっき技術であるマイクロスケール領域(既にナノスケールまで進化が進んでいます)には、私達の暮らしを豊かにする夢と希望がまだまだ隠れています。

次世代産業を支える基盤技術に携わっていると言う自信と誇りを持って、明日に向かって一歩前に踏みだしてみましょう。

 

横浜工場 製造部 笠原 将嘉

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