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「構想力 - 谷川 浩司」 - 石毛

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書籍
構想力

谷川 浩司

勝負は“2手目”を深く正確に読むか。勝利への最短経路を掴め。将棋棋士十七世名人の谷川浩司氏が書いた勝利(成功)をつかむための構想力について「構想力とは何か」「構想に必要な力とは」「常識外の構想が結果を左右する」「構想力を磨くために」「年齢を重ねるほど構想力は伸びる」「次世代の構想力を育てる」といった6章構成で論じられた書籍である。

さて、「構想力」とは、著者はそれを次のように定義している。「何か物事を成し遂げようとしたとき、どうすれば最終的な目標に最短で辿り着くことができるか、置かれた状況やさまざまな条件を考慮しながら、そのための方法と具体的な手順を導き出し、組み立てていくこと」。すなわち、「先をイメージし、見通す力」ということになる。

世の中は不透明で、どのような未来が待ち受けているかは判らない。だからこそ、自分の将来像を描き、それを実現させるために創意工夫し、努力しなければならない。つまり、私たちも「構想力」を身につける事が成功のために大切となる。

構想を立てるにあたっては、著者は“2手目”を深く正確に読むか。というのを特に重要視している。将棋の初心者はよく、「三手の読みができない」といわれる。つまり、自分がある手を指すと相手がどう対応し、その結果次に自分がどう指すべきなのか、という一連のやりとりを考えることが苦手だというのである。

最大の理由は「二手目の判断の甘さ」である。初心者は往々にして自分に都合のいい手しか読もうとしない。自分にとって「こう指してくれればいいな」という手しか読まず、「こう指されたら困るな」という、都合の悪い手は読もうとしないという。だから、構想が立てられない。物事、自分の都合のよいように考えるだけでは、つまり自分の側から物事を見ているだけでは、状況を見誤るおそれが強くなる。そうなっては当然、正確な構想は描けない。すなわち将棋での勝利(すなわち人生の成功)のための構想を練るにあたっては、自分本位ではなく、相手(関係者、社会)の立場で想像することも必要であるというには合点がいった。

そして構想力を身に着けるにおいて、特に大切だと思ったのが、構想に必要なものは知識と状況判断、先を見通す読み、時間の管理であることと、自分の力でどれだけ思考できるかということ、夢や目標を大切にすることである。年齢を重ねることによって記憶力などは衰えていくが、経験を積むことによって経験から知識を得、知恵にする。知恵は使わなければ意味がなく、自身で考えるからこそ道は開ける。

そして自ら考えたものは身に付き応用も利き、構想を実現させるために本筋から外れなければならないときでも力を発揮し、常識に捕らわれない柔軟な考えで新しい未来を切り開くこともできる。

構想は立てても実行しなければ意味がなく、壮大な構想とそれを一歩一歩積み上げるには、長期の目標は高く、短期の目標は低く設定する。ネット社会になって薄れてきている礼儀やマナーができないのは、相手への想像力が足りないから。礼儀やマナーを大切にすること。

この本を通じて、結果を出すことによってのみ生活を成り立たせることができる、真剣勝負の世界に生きる一流棋士の思考や精神性の高さからは、将棋→人生と置き換えても多くの点で学べることができたと思いました。

横浜工場 品質管理部 石毛

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