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「不運のすすめ - 米長 邦雄」 - 石毛

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書籍
不運のすすめ

米長邦雄

著者の米長邦雄氏(1943-2012)は、元日本将棋連盟会長(2005-2012年)、永世棋聖の称号を保持する棋士。本書は、自身の経験から見出した最も積極的な不運の活かし方。

「落ち目となった時」「スランプの時」どうするか、米長さん自身や係わりのあった人達の情熱、行動を通して「運」とはどういうものか語っている。目の前の「不運」と思っていたことが実は大きな「運」につながっているものだと数多くの例で教えてくれる。師匠、父、周りの勝負師達、彼らのすごさに気づいてきたのは著者の優しさ強さであろう。ゼロから出発しなおそうという気分になれば既にスランプは脱しているのだそうである。40歳台半ばでどうしても若手に勝てなくなり自分でも「歳かな」と思った時著者はどうしたか、不遇を嘆く人、人生の転機に立つ人にとって勇気の出る話となっています。

この書籍の印象に残った内容は次のようなものです。

  • スランプになりそうだと感じた時は、生活の流れをちょっとだけ変化させてみることにしている。生活の流れが変われば気分も変わり、気力も次第に充実してくるからである。
  • 強くなる子はいつも将棋と一緒にいられる子だ。物事に向き合う集中力、真摯な姿勢が運も呼び込んでくる。
  • 巷にあふれる勝ち組、負け組というのは、所詮は自分でなく他人が決めたものに過ぎない。自分の価値観に基づいて、自分で幸福かどうかを判断できないのは、不幸なことだ。大切なのは道の先に行き着くことではなく、倦まず、弛まず、歩き続けることだ。このことを忘れた時、一時ではなく最後まで勝ち切った人は、勝ちを維持するために負け組に等しい努力を続けた人だ。
  • 人は天職を通じて生涯かけて物事の本質に迫っていくが、これがいわゆる「道」である。人は自ら福や運から遠ざかっていく。
  • 不運の時というのは、桜の木が地下で根付こうとしている時期だ。

世間は目に見えない土の中のことを無視し、花をつけない桜を敗者扱いするかもしれないが、しっかりと根を張った桜はやがて芽を出し、大輪の花を咲かせるのだ。

不運とは幸運の種に他ならない。この書籍に元気を貰いました。

横浜工場 品質管理部 石毛

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